The Fictional Island

 

 

 

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Video Insatallation/2016/20min
Material - 犬島スラグ、プロジェクタ、スピーカー

2009.7 「瀬戸内国際芸術祭2016」シーサイド犬島ギャラリー
organized by 公益財団法人福武財団

 

これは瀬戸内海に浮かぶ「犬島」という名前の小さな島で作った作品です。1900年初頭「犬島」は銅製錬で栄え、その最盛期には約5000人の島民がいたそうです。(2016年現在約50人)それは、ちょうど日本が近代産業によって大きな発展を遂げていた時代です。この作品は「スラグ」という名前の黒い砂にプロジェクションしています。「スラグ」は岩石に含まれる不要物で、銅の精錬の過程で取り除かれ、産業廃棄物として捨てられました。この黒い砂はちょうど時代の正と負の部分を象徴しています。

 

私はこの作品をとおして犬島の過去・未来、そして新しい世界の形を探求しました。この島には失われた風景がある。同時に、その数だけ物語がある。瀬戸内の海ができた頃、人はこの島に集まり、生活を始め、ある時栄え、ある時衰え、それを繰り返しながら、島は現在の風景を描いています。掘り返されたいくつかの時代の遺物に、私たちが見つけるのは、そこに立ち上がるであろう新しい風景です。都市にはない、小さなこの島の物語です。

この作品は島と海を分け隔てる地形や風景としての緩やかな境界線と、現在・過去・未来へとつながっていく時間が変容する境界線を描き、空間全体を島や海の縮図として、ひいては島国日本をミニチュア化したイメージに見立てています。

 

この島は当時のこの国の生活を支えた原動力であり、もっと言えば、ある時代を支えた場所ともいえる。時代が置き去りにしてきた時間に、心のなかで発する最初の光を描きたいと思う。目には見えない新しい線を描きたいと思う。

一瞬の事実は目に映らず、言葉で描けるものなどはたかがしれている。風景は言葉によって失われ、沈黙によってやっぱり失われてしまった! 世界はあまりにも短い時間のなかで変化し、思考はもう時間に追いつけない。物から、線から、時間から、そして身体から、私たちが考えていること以上の事実が立ち上がってくるのをここで待つ。

 

 

©2017 Keisuke Takahashi.